有限会社アーバン・ファクトリー
藤江 創
関内駅から徒歩2分。
1982竣工。
RC造11階建ての6階。
専用床面積約85㎡。
日当たり悪(東北建物隣接、西日のみ)。
価格3,000万円。
管理費+修繕積立金など46,500円/月
私が事務所で使っている部屋の物件情報です。皆さんが分譲マンション購入を検討するさいに確認するのはこんなところだと思います。さてそれだけで本当にいいの?というのが今回の話。
この物件の管理組合理事長を拝命したのが2015年。現在も同役職です。つまり、7年間継続して理事長をしているわけです。ちなみにほかの役員を含めると10年以上になります。このくらいの築年数になると、雨漏りや漏水などの小規模修繕が度々あるので、建築設計の専門家が理事長をしていることは組合員の安心につながっていると思います。私自身、とある理由があり、理事長であり続けることについてはむしろ積極的です。その理由は最後に打ち明けるとして、これだけ長く理事長をしていると、建築と組合のことがよくわかります。
この物件の場合、駅近ということもあり、事務所で使われている部屋が多く、収益物件として所有されている方がほとんどです。そのような分譲物件では役員のなり手がいません。なぜでしょう?「面倒くさいから」が一番の理由だと思いますが、「遠方に住んでいるので参加できない」という理由が重くのしかかります。そうなるとどうなるか。普段物件を使用している方で理事会を運営してくれということになってしまうわけです。事実この物件では、10年以上続けている役員が半分以上でほとんど入れ替わりがありません。
この状況はあまりよくありません。規約では、やむを得ない場合は継続も可となっていますが、基本的に任期は2年。これは、組合員全員が管理や修繕のことを把握するためでもあるし、理事会がなれ合いになることを防ぐためでもあります。理事会では小規模工事対応もするので、業者選定などでマージンをもらったり、物件使用者からのクレームを隠蔽したりすることもできます。なれ合いの理事会だとどんな問題が生じそうか、想像がつきますよね。
前置きが長くなりましたが、分譲マンション購入時に確認する項目に以下を加えて下さい。
「理事会が健全に運用されているか」
できれば、購入前に理事会に参加させてもらえると良いでしょう。実例を一つ。先日知人から高齢者向けマンションの購入について相談を受けたとき、一緒に理事会に参加させていただき、管理や修繕について確認させていただきました。理事会がちゃんと機能している物件は、自信をもって運営しているので、理事会への参加は歓迎されます。ちなみにその物件は役員全員が65歳以上の高齢者にも拘わらず、パワポも活用しながら、管理費や修繕積立金の収支を分かり易く説明をいただけました。結果、知人には安心して購入を進めることができました。
最後に私が積極的に理事長を継続する理由。この物件は、組合活動協力金という名目でお金を徴収しており、役員への報酬設定が高いからです。理事長は2万円/月に加えて、理事会出席8千円/回と設定されています。この理事系への出席報酬はもちろんほかの理事にも提要されます。これは私が理事長になる前に理事のなり手を増やそうと考えた苦肉の策でした。おかげで、新しく所有者になった方が理事になってくれるなど、それなりの効果はあります。役員のなり手がいなくて困っている組合は、役員の報酬設定を見直すのがよいかもしれませんね。
分譲マンションの改修事例 中野ブロードウェイM邸
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