荻津郁夫建築設計事務所
荻津 郁夫
箱根の旅館のバーカウンターを杉の無垢材でつくりました。
箱根強羅花壇ラウンジ「花影」
杉のバーカウンター
杉材は一般的には柔らかく傷も付きやすいのでカウンター材には向かないと言われています。タモやナラやケヤキ、ブビンガやカリンやチークといった広葉樹のカウンターに出会うことが多いのではないでしょうか。
今回は、和風旅館の中にあるバーカウンターで、今までにない素材が作り出す新しい空間をめざす意味もあり、あえて杉のカウンターにチャレンジしました。
ただし、杉の厚板そのままではなく「表層圧縮テクノロジー」を用いて加工、もともと6センチ以上ある厚板を約3センチに圧縮した材料です。軽量のままで傷がつきにくく、薄い無垢材なのに反りが出にくいので、薄板2枚を積層させて厚さのあるバーカウンターとしています。
表層圧縮した杉板を積層して使用
圧縮された木目が心地よい
無添加の無垢材で表面は固く強いにもかかわらず、中層部は表層部ほどには高密度化しない技術なので、杉の温もり感や肌触り手触りは残ったままの素材感があります。
リラックスして佇む宿の一角にふさわしい素材です。
視覚的にも神代杉や古材を思わせるような表情をもっていて、表層圧縮テクノロジ―が土中や水中に埋もれている長い時間を短時間に再現しているのではないかという想像も駆り立てます。
施工:ナイスグループ 菊池建設株式会社(圧縮杉無垢材:Gywood/ナイス株式会社)
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