新築？　リノベーション？

佐賀・高橋設計室

代表　高橋　正彦

最近、僕が設計のご相談を受ける物件の中で、以前に比べリノベーションの割合が増えてきているような気がします。

以前は、リノベーションというと、今までとは家族構成が変わったので、住みやすくなおしたい、ご高齢のご家族のために、家の中をバリアフリー化したい。など必要に迫られてリノベーションをする方が多かったのですが、最近は少し変わってきて、いろいろな理由によりリノベーションを選択する方が多くなってきています。

新しく自分の家が欲しいが、都心では一戸建てに手が出ない。かといって郊外には住みたくない。その結果、都心の中古マンションを購入し、そこを自分たちらしく作り変えて都心に住み続けたい。

自分が子供の頃に住んでいた愛着のある実家を、両親と同居しながらも自分のライフスタイルに合った形に手を加えて暮らしたい。

中には、中古住宅付きの土地を購入して、古屋を解体し新築するか、リノベーションをしてそのまま住むかを検討したい、という相談のケースもあります。

では、なぜこのようなリノベーションの相談案件が増えてきたのでしょうか？　一つは、価格の上での利点が考えられます。土地を購入し新築住宅を建てるとなるとどうしても予算的に厳しくなる。そうした中で、中古住宅や、中古マンションの中にはいわゆる掘り出し物と呼ばれる物件もあり、それをなおして住むことにより価格を抑えられることがあります。

また、価値観の多様化により古いもの、時間が経っているもに対する抵抗感が薄くなってきている方が増えていることもあります。

なんでも新しくて、綺麗なものがいいというより、自分の好きなもはなにか、自分にとって大切なものはなにか、ということを一番に考えた結果、リノベーションを選択するということです。

ただ、中古物件にはリスクもつきものです。実際の購入の前には、建築家などのプロの目できちんと見極めてもらうことも必要かもしれません。いずれにせよ、自分の理想の暮らしをイメージし、それを実現する最適な方法は何か？　をということを、信頼できる建築家と考えてみる、ということはその後の生活の快適さにつながることだと思います。