日本の美を伝えたい―時代建具の再利用

株式会社 鎌倉設計工房

藤本 幸充


今日は昔の時代建具を現代のすまいに使うことについて。

格子戸や蔵の扉、床の間の書院や部屋を間仕切る襖の上の欄間、ステンドガラス入りのドア、店舗の土間と座敷を仕切る硝子格子戸など、明治、大正、昭和の時代、住まいには立派な建具が沢山使われていました。

もう手に入らない欅の一枚板、驚くほど細かい細木の格子など、貴重な素材、職人技の建具をレストアし現代のすまいに再度の利用を試みます。

全ての扉が時代建具である家は1軒あるものの、新築の場合も多くは部分的に室内に使用します。

例えば階段の手すり壁に昔の欄間をはめ込む、あるいはエアコンの姿を隠しながら冷温風の「吹き出しを確保し、透かし模様の古欄間を使ったりします。

しかし昔の寸法のまま販売しているので、今のすまいに使うには大きさが小さめである場合が多い。

そのため高さや幅に少し木を継いで寸法を増し、継ぎ目に竹を配し現代版建具としてよみがえらせます。

新築の場合も天井や梁などに黒紫色のべんがらを塗り、古民家の持つ古色を出します。

そのべんがらの空間に時代建具は特に溶け込みます。

古建具の色、時を経て日に焼け、飴色になった状態、その風合い、テイストを何より尊んでいます。

使い分けはプライベートな部屋には中が見えないように板戸、玄関から居間には千本格子の建具を2重に使い独得の透けた空間を作ります。蔵戸は物もいいので高価ですが格子戸や障子、御簾戸などは思う以上に安価ですのでぜひ使ってみてください。自分の部屋がレトロなカフェのようになるかも。

(なお以下の写真、建物はすべて新築です。販売店は「時代建具」や「古欄間」でネット検索)

個室入り口欅の扉+竹継ぎ
3本引にき改造した手前格子戸
階段室手すり壁に古欄間

横浜・神奈川|暮らしをデザインする建築家|AA STUDIO

神奈川県、横浜市の建築家を中心とした建築家グループ。住宅や各種施設設計の経験豊かな建築家メンバー自らで運営し建築家の紹介、建築家コンペのコーディネートなどの各種サービスを行っています。

0コメント

  • 1000 / 1000