地震に強い家

ken-ken 一級建築士設計事務所

建築家 河辺 近


誰でも地震に強い家に住みたいけれど強い家にするには住まいを新しく計画でもしない限り難しい なので本気で考える人は少ない 家の中の家具の転倒や物が落ちてこない程度のことは行なっているがそもそも家が壊れてしまっては何もならない。

阪神淡路大震災より


この横浜にも30年以内に大きな地震がやってくる可能性が大きいと言われている 映画やテレビドラマの中の話ではない 暮らしを戸建てで計画するときに安全な場所を選び考えることは無論であるが 代々の土地の建て替えとなるとそうもいかない 2020年7月 九州で川が溢れまた多くの人が亡くなった この地域には水害のマップがあり防災準備もされていたが連絡も救助も間に合わなかったようだ 起こることは分かっていたのに、、、

事務所に住宅の依頼の連絡があった 「免震装置を考えているができますか?」という問い合わせ 免震装置は理解しているが計画をした事がないと正直に伝え 「しかしとても興味がある」というと一度会いたいという事になった 60代後半の建主は「私にとって最後の家づくりとなるのでもし災害が起きたときにTVでよく目にする避難所の生活はしたく無い」という事が今回家創りを行う最大の理由だった 家づくりは土地探しから始まり 駅からの距離 日常の買い物のしやすさ 土地の大きさなど意外に難しかったのが 半年程探し希望に近い土地が見つかる その間に免震装置について調査すると 一昨年カヤバのショックアブソーバのデータ偽造が発覚しこの装置(免震装置)を採用した建物の騒ぎがまだ続いていた 市販で出ている免震装置を全て調べ いかにも怪しい物がこの世間に沢山出回っていることに驚いた 住宅(木造)に使えるものは限られOILESの免震装置を再用することにした。


進めていくうちに何故木造住宅用の免震装置がなぜ普及しないのかがわかった

  1. 一つはコストである 建物の予算に比べ割合がとても大きい
  2. 建築確認申請の他に適合判定の構造計算 申請を行わなければならないこれは普段木造の仕事を行っている人たちにとってはハードルが高く 時間がかかる
  3. 基礎を2重(免震装置の上部建物を支える基礎 下部地球上の建っている基礎)に作る為工期に時間がかかる 免震装置は特注のため製作に時間がかかる
  4. エキスパンションジョイントを扱っているメーカーが少なく コストが掛かる など 時間とコストが掛かるのです

特別な法整備もなくビルのような大きな建てものと同じルートで考えていかなければならないこれでは普及するはずも無い しかし今回の件で色々なことを理解することができた次回は行政やメーカーに対して助言をしながら進めることができそうだ その他災害に対して300Lの水の確保 リチュームイオンバッテリーで電気の確保 など無理をしない程度に災害に対する準備をした 災害が起こらないことが一番ではあるが備えは大切である。

横浜・神奈川|暮らしをデザインする建築家|AA STUDIO

神奈川県、横浜市の建築家を中心とした建築家グループ。住宅や各種施設設計の経験豊かな建築家メンバー自らで運営し建築家の紹介、建築家コンペのコーディネートなどの各種サービスを行っています。

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