住まいのリフォーム、リノベーションについて少しお話しいたしましょう

ken-ken inc., 一級建築士設計事務所

代表 河辺 近(コウベチカシ)


 今回は建築の中でも皆さんにとっては身近な、住まいのリフォーム、リノベーションについて少しお話しいたしましょう。

 最近、建物が丈夫になって来たこと、コンクリートのマンションが増えて来たこと、つまり家の耐久性が向上したこともあって、持ち家のリフォームやリノベーションの問い合わせが増えています。日本でも海外の都市並みに、外部はそのままで内部に手を入れて使い続ける建物が増えていくことがこれからは予想されます。

 リフォーム、リノベーションは、部分リフォーム、スケルトンリフォーム、増築、減築の4種類に分類されます。また、増築、減築は戸建ての建物でなければ出来ません。

ここで、具体的に注意しておくと良い点をあげてみましょう。

1.部分リフォーム仕上げ編 マンションリフォーム

「仕上げを変える。」

たとえば、海外では気軽に住まい手自身が壁紙を張替えることが多く見られます。日本人には乱暴に見えるかもしれませんが、古い壁紙の上から新しい壁紙で貼ってみたり、クロスの上から直にペンキを塗ること等もあります。最近はクロスの上から塗る珪藻土もあります。この場合仕上げを丁寧に美しく仕上げるには下地を不陸なく、平に仕上げておくことがポイントです。

2.部分リフォーム仕上げ編 マンションリフォーム

「床を変える。」

既存の床の上から、フローリングを貼る、ジュウタンを貼る、石を貼るなど、比較的簡単に行えます。ただし床の仕上げが上がることによって、キッチンではカウンターまでの高さが低くなってしまうので、十分な注意が必要です。マンションでは下地のボードに接着剤で床を貼り付けていることが多いため、大掛かりな工事となることがあります。下地から直すか、仕上げのみを変更するのか、工事のやり方は大幅に変わりますので、予算ととともに検討が必要です。

3.部分リフォーム 設備編 マンションリフォーム

「設備を変える。」

位置はそのままで、新しい設備に変更します。キッチン、洗面台など既成品のキャビネット物は、15年前と価格はあまり変わらず、ものによっては安くなっているのに、性能、省エネ性がさら良くなっています。ユニットバスは、断熱材が巻かれ、便器は今や5L以下で節水して流すことが出来るようになりました。(ものによっては水量が1/3以下のものもあります。)

エコとは、省エネルギー製品に変えたからと言ってエコロジーになるわけではなく、今、あるものを大切に使い続けることも、もう1つのエコの形と考えますが、如何でしょうか。

4.スケルトンリフォーム マンションリフォーム

「スケルトンリフォーム。」

内装を全て取り払い、間取りも含めて新しく考えることが出来できます。マンションの管理規約によって仕様制限等があるので、要確認です。新築と違って、壊した内装を外部へ持ち出さなければならないため、解体費が量以上に掛かるので注意しましよう。玄関、窓、開口部(スリーブ)、バルコニーなどは変更出来ません。また、間取りを変えるのであれば、改めてこれからの暮らし方、住まい方を見直して考えることが大切です。全体予算も含め、一緒に考え、提案してくれるパートナーを選ぶことが重要です。

5.増築 戸建てリフォーム(木造)

家族が増える、必要な部屋を増やしたい、既存に比べ建物の面積を広くしたい場合の注意点。現行法規に適合しているか、増築する事によって建築基準法の斜線、建ぺい率、容積率等、集団規定を侵す事はないか注意が必要です。増築することによって、構造的に必要な柱、壁は構造計算による確認と、増築面積にもよりますが、改めて確認申請が必要となります。

特に雨仕舞いには注意が必要で、既存との取り会い部分を繋いでいかなければならないからです。また既存の一部を壊した際に、基礎、断熱、木材の痛みなど発見した場合は、必ず手直しをする必要がありますので、時間と予算には余裕を持っておきましょう。

6.減築 戸建てリフォーム(木造)

家族が減る、必要な部屋だけにしたい、既存に比べて建物の面積を狭くしたい場合の注意点。構造のバランスに要注意です。建築基準法の4号建物であっても、壁量だけでなく、全体のバランスをとる構造計画とし、屋根、防水を詳細に検討しておく必要があります。一つ一つ人の手による丁寧な仕事が要求されますので、思いの外、工事金額が掛かることを考えておいた方が良いでしょう。

 以上、駆け足ではありましたが、何となくイメージはつかんで頂きましたでしょうか。

何れの場合も、多くの時間と予算が必要です。

 施工者と直接進めることより、ぜひ信用の出来るパートナーを見つけて相談し、より良い住まい作りを実現してみて下さい。

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神奈川県、横浜市の建築家を中心とした建築家グループ。住宅や各種施設設計の経験豊かな建築家メンバー自らで運営し建築家の紹介、建築家コンペのコーディネートなどの各種サービスを行っています。

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