バリアフリーでなくてもいいです。

北川裕記建築設計 一級建築士事務所

代表 北川 裕記

 少し前に完成した住宅です。35年以上住んでいらしたお家の建て替えでした。長年慣れ親しみ、非常に便利だったという間取りにはほとんど手を加えていません。

二人の息子さんは独立して、近くに住んでおられます。引き続きこの家で暮らすことになるご夫妻の要望で、「完全なバリアフリー住宅とまでは言わないが、極力その方向を目指して」設計はスタートしました。

しかし、設計の打合せを進めていくなかで、次第にご夫妻の新しい住まいでの暮らしに対するイメージがクリアになり、ある日「バリアフリーでなくてもいいです。車椅子が必要になったら、施設に引越します。それまでの元気なあいだに気持ち良く暮らせることを優先します。」と言われました。

一方で「元気なうちにもあった方が良い。」ということで、お風呂やトイレには手摺を付けていますし、階段の勾配や水廻りの広さは、他の条件との兼ね合いのなかで、できる限り余裕のあるものにしています。また壁の随所に手摺取付け用の下地も仕込んであります。

とても合理的で判断の基準がクリアなご夫妻でした。打合せを通じて、私自身も考え方の整理ができたように思います。

横浜・神奈川|暮らしをデザインする建築家|AA STUDIO

神奈川県、横浜市の建築家を中心とした建築家グループ。住宅や各種施設設計の経験豊かな建築家メンバー自らで運営し建築家の紹介、建築家コンペのコーディネートなどの各種サービスを行っています。

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