建築家の選び方 --AA STUDIOプロデュース2物件紹介から

A.A プランニング/一級建築士事務所

代表 青木恵美子


 新年あけましておめでとうございます。

 今年も建築家ギャラリーAA STUDIOは、みなさまのすまいづくり、暮らしづくりを共に育む所存でございますので、よろしくお願い申し上げます。

 今回は昨年年末にAA STUDIOプロデュースの2物件が完成しましたので、「建築家の選び方」に焦点を絞りその経緯をご紹介します。

 一物件目は先月の投稿の「都会に住み続ける」住宅で、年末完成見学へ参りました。

 設計者である荻津郁夫氏から先月ご報告がありましたように、敷地は都会の雑踏や喧騒と隣り合わせで、周囲は10階建てのビルに囲まれた都会のど真ん中で、築50年以上の補強コンクリートブロック造2階建のアパートを所有されているクライアントが、ご自分が生まれ育ったその場所にこれからも住み続けると決断され、2012年5月AA STUDIOの「建築家と話そう」にご相談にいらっしゃいました。

 既存建物であるアパートの存在と活用方法等に悩まれていたため、すぐに私が現地に伺い、3名の建築家との面談コース(無料)をご提案しました。

 3名の建築家との各自1時間弱の面談は法規や予算建てなど現実的な話、現存する建物を含めて活用など将来展望提案、イメージ提案など三者三様で、それぞれの個性が色濃くでてクライアント様は面談終了後ますます悩まれてしまいました。

 家づくりはただ単に住む為の条件を満足するだけでなく、今までの家族の歴史と将来の暮らしを育む、まさに現実と夢の創造です。そのすべてを建築家に委ねるのですから悩むのは当然のことですね。そして約2週間後荻津郁夫氏が今回の設計者に決定し、半年強の設計期間と既存建物改修補修を含めて10ヶ月程の工事期間をへて、2013年12月に建物は完成しました。

 見学をさせていただき、コンクリートの堅い殻で被いその一部を切り取ったような外観は「都会のど真ん中に住むための居」としての場所性の表現、さらに隣に50年の歴史を育んできた建物から周辺の街の歴史性の表現として「風景にとける」建物を感じました。

 二物件目は南箱根の別荘で、こちらも昨年末に完成し見学に参りました。

 こちらは2011年年末に第一相談がありました。一番初めのご相談は、設計料、既存建物解体、道路敷設も含めて1000万円で南箱根に別荘を建替たい、というご相談でした。あらゆるご相談に対応したい!というのが私の真髄ですが、かなり厳しい予算に私が悩み半年寝かせてしまいましたが、半年後の2012年6月に1500万円へアップを私からご提案し、クライアントからは可能でしたら是非!ということで再スタート。AA STUDIOメンバーに相談しましたら、チャレンジ精神旺盛の5名の建築家が設計料、既存建物解体、道路敷設も含めて1500万円 計画に手を挙げました。その中で2名の建築家による提案コース(1提案5万円)が行われました。提案コースは現地視察後、提案として平面図・立面図と模型によるプレゼンテーションです。実は予算から建築家依頼は無理だと判断していたクライアントは、私が手元に寝かせていた半年間で箱根周辺の3工務店に依頼していたようでしたが、プレゼンテーション修了直後に2建築家のどちらかに依頼したい意向表明されました。2建築家は真逆の提案で悩まれたクライアントは現地で夏休みを過ごした結果、今回は藤本幸充氏が選ばれました。建物だけで1500万円ではなく、設計料、既存建物解体、道路敷設も含めてという厳しい予算監理を経て完成した建物は、自ら塗装等を行いながらの設計監理の苦労を感じました。

 目の前に富士山をのぞむ絶景の中に佇んでいる新しい別荘は、勿論その場所性を最大限に生かす「風景にとける」建築である共に、以前の古い別荘にあった障子、欄間を新しい建物に取り入れるなど工夫を凝らして家族が育んできた家族の歴史を子孫に伝える建物でもありました。

 建築家に依頼することはまだまだハードルが高いことでしょう。しかし、とても難しい条件や予算の厳しい条件であるからこそ工夫が大切であるのでご相談ください。

 AA STUDIOでは、厳しい敷地条件-傾斜地、段差のある敷地、狭小敷地、旗竿敷地、大規模改修など積極的に対応致しますので、是非足をお運びくださいませ。

横浜・神奈川|暮らしをデザインする建築家|AA STUDIO

神奈川県、横浜市の建築家を中心とした建築家グループ。住宅や各種施設設計の経験豊かな建築家メンバー自らで運営し建築家の紹介、建築家コンペのコーディネートなどの各種サービスを行っています。

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